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台湾の第三の航空会社で、台北から東京成田・大阪関西・北海道各地
へのフライトも運航しているトランスアジア(復興)航空が、先月21日(月)
夕方になってから、急遽台湾国内線・日本路線・中国両岸路線を含む
全路線全便を翌22日丸一日欠航させると発表しました。

通常、急なかつまとまったフライトの欠航となると
パイロットや乗務員組合のストライキ、あとは天候不順や
システムトラブルなどが考えられますがトランスアジア航空は
違いました。

なんとその直後に 会社が突然解散  してしまったのです。

「解散」って・・・ 売れないロックバンドじゃあるまいし。

普通廃業するのであれば準備期間を設けて新規の予約は受けない
ようにしたり、事前に告知したりして利用者に極力不便を
かけないようにするのが日本的考えでは普通ですが、台湾では
そうではない・・・ いや、トランスアジア航空がぶっ飛んで
いるだけですよね。


台湾のニュースを日本語で紹介している、「中央社フォーカス台湾」
によると、


トランスアジア航空 解散へ=取締役会で決定/台湾

【経済】 2016/11/22 12:30

(台北 22日 中央社)トランスアジア(復興)航空は22日、
臨時の取締役会を開き、解散することを決めた。午後2時からの
記者会見で詳細を説明するとしている。 

21日からインターネット上で新規の予約受け付けを停止。
22日に国内線、国際線、台湾海峡両岸直行便など全ての便を
欠航すると発表していた。 

同社は1951年に台湾初の民間航空会社として創業。近年は
国際線を中心に路線拡大や機材の大型化を進めていたが、
2014年7月と2015年2月に多数の死傷者を出す墜落事故を
相次いで起こし、経営不振が伝えられていた。子会社の
格安航空会社(LCC)、Vエア(威航)も、今年10月に休業している。



だそうで。

トランスアジア航空の日本語ホームページにも、急に会社が
解散となった経緯が掲載されています。


トランスアジア航空 解散および運航停止のお知らせ

11月 22 2016

復興航空運輸株式会社(トランスアジア航空)は本日(22日)
取締役会に於いて会社組織を解散することを決定致しました。

トランスアジア航空は2回の航空機墜落事故後、安全を最優先し、
社員一同最善を尽くし、業務改善措置を進めて参りましたが、
以前の水準まで回復するに至りませんでした。

旅行業界を取り巻く環境は急速に変化しており、経営不振に
伴う状況の悪化により、今年度第3四半期の累計損失は22億
台湾ドルに達し、今後の業績改善状況も楽観視出来る状況では
ありません。

取締役会は、2日間にわたる会議の結果、トランスアジア航空の
解散を決定致しました。 会長の林明昇は声明を発表、
「会社解散は苦渋の決断であり、回避すべく我々は国内外の
再生支援機構、合併パートナー、新しい経営グループによる
支援を模索したが実現にはいたらなかった」と語りました。

また現時点で解散を選択した理由について林明昇は、「弊社の
現資産額が負債額よりも大きく、ステークホルダーである旅客、
ビジネスパートナーの利益に対し必要な保証が可能である事が
重要、多くのお客様に多大なご迷惑をおかけしましたことに
対し深くお詫び申し上げます。また弊社は1951年設立した
最初の台湾民間航空会社であり、ご利用、ご支援いただいた
多くのお客様に対し航空業廃止の最後の日まで責任を全う
致します」としています。

トランスアジア航空は、交通部と民航局並びに立法院交通
委員会の諸氏が弊社の業務改善向上にご尽力下さいました
ことを心より感謝申し上げます。事業精算業務を確実に遂行
すべく、緊急タスクフォースを立ち上げ、旅客の航空券払戻し、
関係省庁への報告、従業員手当、債務弁済処理を開始致します。

すでに航空券ご購入のお客様は、未使用区間の全額払戻しを
致します。詳細はホームページにてご確認ください。
全従業員は労働基準法に沿って対処致します。 過去2度の
航空機事故につきまして本日の段階で数名のご遺族と和解には
至っておりませんが最善を尽くし対応すべく費用は既に
確保しております。

あらためまして最後にトランスアジア航空は今までの皆様方の
ご利用、様々なご支援に深く感謝し、この度の会社解散に伴う
ご不便に対し、心より深くお詫び申し上げます。



旅行業界を取り巻く環境うんぬんよりも、2014年7月と2015年2月と
いう短期間に2回も墜落死亡事故(台湾海峡にある澎湖諸島、台北市
郊外の基隆河)を起こしてしまったのが致命傷でしたね。

しかもいずれの事故もトランスアジア航空側の人為的ミスで
あった可能性が非常に高いらしいですし。

そりゃあ短期間で2回も人為的ミスで墜落していれば、客足も
遠のく → 経営が苦しくなるというのは必然的でしょう。

また、子会社として「Vエア(威航)」という格安航空会社(LCC)を
2014年に立ち上げましたが、こちらも業績不振で今年の9月末
をもって運航を停止しています。

なお、トランスアジア航空の運航路線については、離島間路線で
ある金門島~澎湖諸島間以外を12月から随時台湾最大の航空会社
チャイナエアラインが来年2月の旧正月明けまで運航を引き継ぐそうです。

成田~台北桃園間とかはえらくチャイナエアラインが増えそうな
気がしますが、それはそれで大丈夫なんですかね・・・?


そんなトランスアジア航空ですが、今からちょうど5年前の
2011年11月に実際管理人も利用していました。

台湾国内線の台北松山→花蓮線で、2014年と2015年に墜落死亡
事故を起こした「トランスアジア航空のATR-72型機」と同型機に
搭乗。(今考えるとちょっと怖いですが)

あと、2014年7月の澎湖諸島での墜落事故が起きた日もちょうど
台北にいましたし。

ということで、トランスアジア航空の搭乗レポートと墜落事故が
起きた日の周辺状況を最後にお伝えしたいと思います。


*トランスアジア航空 台北松山→花蓮間 搭乗レポート

今から約5年前、2011年11月にトランスアジア航空の
台北松山→花蓮間 台湾国内線に搭乗した時のレポートです。

確か航空券代金は1,300台湾元(日本円で4,000円少々)ぐらい
だった気がします。

同一区間を台湾鉄道の特急電車で移動すると440台湾元(日本円で
1,600円弱)ですのでやはり飛行機は高額ですが、東海岸の花蓮へは
高速道路がなく移動手段は飛行機か鉄道に限られるからか
この日のフライトも満席でした。

ちなみに鉄道も慢性的に混雑しているそうです。


□台北松山空港国内線ターミナルのチェックインカウンター
 国際線ターミナルとは館内でつながっています。

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□トランスアジア(復興)航空の隣はチャイナエアラインの子会社
 マンダリン(華信)航空のチェックインカウンター。

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□トランスアジア航空の出発案内。 花蓮行は満席です。
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□9時ちょうど発の予定が出発遅延。 中国語・英語・日本語で
 「遅延のご案内」が流れました。

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□日本語で遅延のご案内(音声あり)



定刻の9時を20分くらい過ぎてから、搭乗開始のアナウンス
がありました。

機体までは駐機場を歩いて向かいます。

歩いて2分ぐらいで機体のすぐそばに着きました。


□トランスアジア(復興)航空のATR-72型機。
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□機体後方の出入口にあるタラップから搭乗。
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機内は2席-2席の座席配列でパッと見は観光バスのよう。
「満席」の案内通りほぼすべての座席が埋まっていました。


□客席の様子。
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離陸後、しばらくして飲み物(パック飲料)のサービスがありました。


□飲み物サービスはスポーツドリンクとお茶(確か無糖)から
 選べました。

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「こんな短距離なのに飲み物サービスがあるんだ」と感心していると
飛行機は徐々に高度を下げていきます。

それもそのはず、台北松山~花蓮間はわずか40分。
日本で言えば九州の福岡から隣県の大分まで飛行機移動するよう
なものです。

上にも書きましたが、道路整備が遅れているからが故に
空路が残っているものと思われます。


□台北松山空港での出発遅れを若干取り戻して花蓮空港に到着。
 こちらの空港も徒歩でターミナルビルに向かいます。

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□花蓮空港に到着した機材は、そのまますぐ台北松山行として
 折り返します。

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□花蓮空港の出発・到着案内表示。 たまに中国行・台中行の
 フライトがあるようですが、基本は1日5往復の台北松山行と
 1往復の高雄行のみだったようです。(台北行はこの前に始発便あり)

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フライトは10分前後の遅れで到着。
台北松山から到着したGE071便の搭乗客が空港を後にすると、
空港内の乗客らしき人影はほぼなくなりました。

この時は景勝地太魯閣(タロコ)渓谷を巡る日帰りバスツアーに参加する
ことにしていましたが、バスが空港に迎えに来るのが11時過ぎ。

1時間以上時間があったので、持ってきた本を読んだり
手荷物検査場入口にあったはちみつの店をブラブラしてました。


□花蓮空港出発ロビー唯一の店ははちみつ製品の店。
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*トランスアジア航空 高雄→馬公線 墜落事故発生・・・。

トランスアジア航空の台北松山→花蓮線に搭乗した約2年半後の
2014年7月。 その時以来の訪台でした。

この時は台風10号が台湾の中央部を通過した直後で、東京羽田から
台北松山に向かうフライトが果たして飛べるのか、個人的には
ヤキモキしていましたが、利用したエバー航空は特に運航条件も
つかずほぼ定時運航。(台北松山空港到着前にある程度の
揺れはありましたが)

ほぼ同時刻で運航していたANAの羽田発台北松山行は条件付運航
(確か台北松山空港に着陸できない場合は羽田引き返しだった
ような)でしたが、こちらも大きな遅れはなく無事運航された
とのこと。

入国審査が終わり台北松山空港のターミナルビルから外に
出ましたが、風はやや強かったものの雨はすでに上がっており
また台北市内も至って通常通りの様相。

タクシーで10分、台北滞在時の常宿となりつつあるホテルに
向かいチェックイン。 部屋でしばらくのんびりし、台湾料理で
名の知れているという「欣葉」で台湾料理と台湾ビールを
いただきました。

値段もそこまで高額ではなく、味にも満足。
さすがにどのメニューがおいしかったかまでは忘れましたが。

ほろ酔い加減でホテルに戻り、部屋のテレビをつけたら
いきなり「トランスアジア航空墜落事故」のニュースが。


□トランスアジア航空の墜落事故を告げるテレビニュース。
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□墜落事故の詳細(Wikipedia)
トランスアジア航空222便着陸失敗事故


自らが以前搭乗したものと同じ航空会社で同じ機種(機材は違い
ましたが)、しかも台湾滞在中にあった事故でしたので驚きは
正直大きかったです。

この約半年後、トランスアジア航空は台北市郊外の基隆河に
台北松山発金門島行の国内線旅客機(やはりATR-72型機)を
墜落させる事故(トランスアジア航空235便墜落事故)
を起こします。

結果、トランスアジア航空の解散にはこの二件の墜落事故が
大きく影響しました。

当然ですが、安全が担保されないものはいくら安くても・・・
ってことなのでしょうけどね。